メ~テレ for Business

【協賛社インタビュー】「好き」が集まる場所から、まだ見ぬ体験へ。FIELDSTYLEが踏み出す“はじめて”の未来

構成・編集:槻 真悟/取材:溝口敏正/写真:木村武司

2025年7月、メ~テレ(名古屋テレビ放送株式会社)とFIELDSTYLE株式会社は、「FIELDSTYLE」というイベントをより発展させていくために「連携・協業」を進めていくことで合意しました。FIELDSTYLEが長年築いてきたファン層──感度の高いカルチャーを愛し、自分らしいライフスタイルを求める人たちに向けて、これからの顧客体験をどう設計するべきか。プロジェクトのキーマンとなるふたりに、秘めた想いを語ってもらいました。

左・清水俊英(しみず・としひで)
愛知県出身。幼少期から「趣味を楽しむこと」「人を楽しませること」に熱中する日々を送る。10代後半から飲食業、物流業などさまざまな仕事に従事。自動車関連企業の会社員だった2017年に「FIELDSTYLE実行委員会」を組織し、プロデューサーに就任。会社を退職後の2021年にはFIELDSTYLE株式会社を立ち上げ、代表取締役となる。

右・大西真裕(おおにし・まさひろ)
福井県出身。幼少期は自然豊かな環境の中でアウトドアに親しみながら育つ。1999年にメ~テレ(名古屋テレビ放送株式会社)に入社。2019年にアウトドアメディア「ハピキャン」の立ち上げを主導し、地上波放送や動画コンテンツも含めた複合メディアを展開。現在はハピキャン編集長兼事業マネージャーを務める。

熱狂のその先へ。FIELDSTYLEが描く未来予想図

 

FIELDSTYLEといえば、2017年のスタート以来、「暮らしと遊びの総合展示会」というコンセプトのもと、ライフスタイルにこだわりを持つ人たちから支持を集めてきた一大イベントです。

イベントの成長を支えてきたのは、実行委員長・清水俊英さんによる継続的な経営努力と挑戦の積み重ねにほかなりません。

清水さんは幼少期から好奇心旺盛で、小学生の頃にはプラモデルのコンテストを主催するなど、夢中になったことにはとことん打ち込むタイプでした。

その姿勢は大人になってからも変わらず、カメラやバイクといった趣味にも深くのめり込み、自ら楽しみを広げていく行動力を持ち続けています。

     

17歳の頃からアメリカの「遊びのカルチャー」に惹かれていた清水さんは、現地の人々と定期的に交流を重ねるなかで、日本とは異なるライフスタイルや価値観に触れていきました。

その体験が、FIELDSTYLE立ち上げの原動力となったといいます。清水さんは当時をこう振り返ります。

清水:機会があるごとにアメリカに行って、現地に住む友人と遊んでいたんですが、そこでアメリカ人の遊び方が、日本人とは根本的に違うことに気づいたんです。

仕事の息抜きに遊ぶんじゃなくて、遊ぶこと自体が生活の中心にある。しかも、ひとつの遊びに没頭するというよりは、いろんなジャンルの遊びを同時並行で楽しんでいるんですよね。

そうした行動スタイルに触れるうちに「この価値観を日本にも伝えたい」と思うようになりました。

一方、大西はメ~テレ(名古屋テレビ放送株式会社)に放送技術者として入社し、のちにカメラマンやシステムエンジニアへと業務の幅を広げながら経験を積みました。

やがてバラエティ番組の制作やコンテンツ企画にも携わるようになり、現在に至ります。

担当分野を広げる過程でテレビとWebを横断するメディア展開の可能性に着目し、アウトドア情報の発信力を高めるためにテレビ番組「おぎやはぎのハピキャン」と、それに連動するWebメディア「ハピキャン」の立ち上げを主導しました。

福井県出身で、幼い頃から山や川など、自然の中で遊ぶ時間が多かったという大西にとって、アウトドアは原体験に根ざした特別な存在だったといいます。

大西:社内で特化型Webメディアの立ち上げプロジェクトが始まったとき、僕が選んだテーマがアウトドアでした。

ちょうどキャンプブームの兆しもあり、一定の成果を見込めると判断しましたが、決定打となったのは「子どもとどんな時間を過ごしたいか」と思い描いたとき、真っ先に浮かんだのがキャンプだったことです。

自分が心底楽しめるジャンルなら、仕事でも情熱を注げるはずだと思ったんです。それが「ハピキャン」の原点です。

大西はクロスメディアとしての「ハピキャン」を、清水さんはFIELDSTYLEを軌道に乗せ、それぞれ豊富な知見を培ってきました。そんなふたりがはじめて顔を合わせたのは、2024年の秋でした。

大西:もちろんFIELDSTYLEの存在は知っていました。「名古屋にすごいイベントがある」と耳にしていましたし、実際に足も運びました。出展者も充実していて、お客さんも本当に楽しそう。直感的に「これはいいイベントだな」と感じました。

清水:ありがとうございます。僕がテレビで「ハピキャン」を観たのは、友人が出演していた回がきっかけでした。やっぱりテレビ番組にはマスに訴える力がある、とあらためて感じましたね

大西:はじめてお会いしたのはたしか2024年10月ごろですよね。うちの営業担当にセッティングしてもらって。

清水:そうです。以前からぜひ会いたいと思っていて、僕からもアプローチしていました。教えていただきたいことがたくさんあったので。

初対面とは思えないほど、ふたりはすぐに意気投合。アウトドアにとどまらず、これからの余暇のあり方やライフスタイルに対する思い、そして今後挑戦したいことについて、熱く語り合いました。

コーヒー一杯を前に、気づけば3時間以上。情報交換の域を超え、話題は新プロジェクトの打ち合わせと呼べる段階にまで発展していきました。

目の前にいる相手の言葉にうなずき、思いに共鳴し、言葉を重ねるうちに、気づけば「何かが始まりそうな予感」が静かに芽生えていました。

清水:波長が合ったんでしょうね。僕と大西さんは考え方が似ていました。充実したライフスタイルのあり方や、自分たちにできることについても。ひと言でいえば、「信頼できる人だ」と思ったんです。


大西:清水さんの実績にはずっとリスペクトがありましたし、その考えをもっと聞きたいという気持ちが尽きませんでした。

「一緒に何かできないか」。その言葉は、ふたりが同時に抱いた共通の思いでした。互いの知見をぶつけ合い、FIELDSTYLEを次のステージへ押し上げる構想が一気に膨らみます。

やがて大西が運営に加わり、イベントをさらに磨き上げるビジョンが固まると、プロジェクトは本格始動。コーヒーショップでの出会いが、新生FIELDSTYLEの第一歩となりました。

交わる危機感と響き合うビジョンがもたらす、次の一手

 

キャンプをはじめとする外遊びの楽しみ方が広がり、スタイルや価値観も変わり始めている今、業界に携わる人たちは、自分たちのビジョンを見つめ直すタイミングを迎えていました。

大西も清水さんも、これまで積み上げてきた取り組みを見つめ直しながら、今のままでは届かない人たちにどうアプローチできるかを模索していたのです。

そんな中で始まった今回のプロジェクトは、ふたりの経験や人脈を掛け合わせ、FIELDSTYLEをより高いレベルへと引き上げる絶好のチャンスとなりました。

大西:テレビ局は「多様な情報を広く届ける」ことには長けていますが、ひとつのジャンルを深掘りするアウトドア・プラットフォームとして運営するとなると、思いのほかハードルが高いんです。

キャンプ用品の名称や専門用語はコア層には魅力でも、これから始めたい人には敷居が高い。だからこそ、幅広い層に開かれた“ちょうどいい深さ”を設計することが課題でした。

清水:その課題感、よくわかります。すべての層に響く設計は簡単ではありませんからね。

大西:だからこそ、FIELDSTYLEがあれだけの来場者を集めるのは本当に見事だと思います。リアルの場に人を呼ぶのは簡単ではありませんから。

清水:ありがたいことに多くの方が来場してくださっています。ただ、まだ伸びしろを感じているんです。

FIELDSTYLEには、知る人ぞ知るブランドや、通好みのプロダクトが集まる一方で、来場者はお気に入りを見つけると一点集中でのめり込む傾向があります。もっと会場内で「目移りする楽しさ」を味わってもらいたいんです。

大西:言い換えれば、「目移り」できる仕掛けを増やすことで、アウトドアがメインでない人や、暮らし全体を充実させたい層も自然に巻き込みたいということですよね。

清水:はい。その意味でも、ハピキャンが培ってきた「敷居を下げる企画力」をFIELDSTYLEというプラットフォームに取り込めたら心強いと思っています。

大西:テレビの世界では「誰も置いていかないための伝え方」を徹底的に磨いてきました。だからこそ、届け方の引き出しには自信があります。FIELDSTYLEでもその経験を活かして、どんな層も自然に巻き込める導線を一緒に設計しましょう。

 知恵・人・情熱。新生FIELDSTYLEに必要なもの

大西と清水さん、それぞれが培ってきたノウハウとビジョンが交わることで、FIELDSTYLEはさらに高い次元へと進化しようとしています。

単なるリソースの増強や規模拡大ではなく、両者の知見・人脈・資産が補完し合い再定義されることで、FIELDSTYLEにこれまでになかった表情が芽生えつつあるのです。

大西:僕たちはこれまで、テレビ・Web・YouTube・SNS・ECを横断しながら、アウトドアの体験導線を設計してきました。

つまりはコンテンツを媒介に、人と体験の接点を広げられることが最大の強みだと思っています。

清水:まさに、それが僕の期待しているところです。イベントをその日限りで終わらせず、前後のストーリーとも連動させて体験価値を高めたいんです。

大西:それなら僕は、FIELDSTYLEの熱量をまだ知らない層にリーチするためのハブとなったり、現地の空気を届ける仕掛けを考えたいなと。

清水さんが築き上げた会場運営のノウハウとたしかな集客力があるからこそ、そこにデジタルで拡張された余白を重ねられる気がするんです。


清水さんはこれまで、仲間と連携しながら出展者との調整やブースレイアウト、当日のオペレーションまで、現場の要として取り仕切ってきました。

その過程で培った運営の知見は、今後もFIELDSTYLEを支える盤石な土台となります。  

清水:ブース配置は、空間演出そのものだと捉えています。ゲートをくぐった来場者に、まずどんな光景を見せたいかを思い描き、そこから動線を逆算するんです。

相乗効果を狙って関連ブランドを隣接させ、フードブースの香りが流れる先にはイートスペースを置く。視覚と嗅覚を織り込み、会場全体をひとつの物語としてエディットするイメージです。


大西:まるで雑誌を立体化したような世界観ですね。視覚や香りといったレイヤーが、顧客体験だけでなく出展者のマーケティング導線にもきちんと働いているわけで。

そういう意味でFIELDSTYLEは、来場者と出展者の双方が同時に試せる「体験のラボ」ですから、その価値をさらに「見える化」していくのも面白そうですよね。
 
清水:もっと言えば、FIELDSTYLEを「ここへ来れば仲間がいる」と感じられる場に育てたい。

来場者同士はもちろん、出展者や僕たち運営スタッフも含め、同じ熱量や価値観を共有できるコミュニティの拠点にしたいんです。

大西:まったく同感です。僕はそこに息子を連れて行き、大人たちが楽しむ姿を見せたいと思っています。

「仲間っていいな」と子どもが感じられる場をつくり、その連鎖をさらに広げていくことにもチャレンジにしてみたいですね。

年に2回の祭典から、「文化を耕す」通年型コミュニティへ


コロナ禍以前から高まりつつあったキャンプ人気は、感染拡大を機に「三密」を避けられるレジャーとして一気に広がりました。

外出自粛やリモートワークで蓄積したストレスを解消しようと、多くの人が自然へ足を向けたのです。初心者に優しいグランピングや、気ままに楽しめるソロキャンプといった新しいスタイルも、この動きを後押ししました。

そして現在、その熱気はブームを越えて日常に溶け込みつつあります。離れる人もいれば、得た経験をもとに登山や釣りへと、活動の幅を広げる人も増加。キャンプは「点」ではなく「線」となり、身近な余暇スタイルへと定着しつつあるのです。

さらに、自然の中で過ごすことで生き方そのものを見直し、日常をより豊かに彩るライフスタイルを追求する人も増えています。こうした多様化を踏まえ、大西と清水さんはFIELDSTYLEを次のステージへどう進化させるか、構想を練っています。 

大西:「とことん遊びを楽しみたい」というコアな人たちはしっかり残っていますし、「必ずしもアウトドアに限定しなくていい」という価値観も広がっていますよね。

清水:はい。だからこそ、ジャンルに縛られず、自分らしい楽しみ方を大切にする人たちに響く提案が必要だと思っています。

「純粋にワクワクするものを届ける」というのが、FIELDSTYLEを旗揚げした際の原点でもありますから。

も船も盆栽も車も、何でも扱うイベントにしたかったんです」と笑う清水さんは、FIELDSTYLEを誰もが気軽に活用できるオープンプラットフォームへと成長させたいと考えています。

そしてこのビジョンは、多様な視聴者やユーザーと向き合ってきた大西の思いとも一致します。

守るべき核は堅持しつつ、変えるべき点は大胆に刷新する。その取捨選択を重ねながら、ふたりはプロジェクトを前へ進めます。

清水:FIELDSTYLEは、来場者の「好き」が一堂に集まるセレクトショップのような場所です。

ゲートをくぐった瞬間に込み上げるドキドキやワクワクを、訪れた皆さんに届けることこそ、守り抜くべき本質だと考えています。
 
大西:おっしゃる通りです。会場で思い切り楽しんでいただくのは前提として、その高揚感をイベント後の日常にも延長できる仕組みを整えたい。

リアルで得た体験が、オンラインコンテンツや次回開催へと自然につながっていく流れをつくれれば最高ですよね。


清水:そうなんです。年2回の開催だけで完結させるのではなく、たとえば名古屋まで来られない人も、自分のタイミングで臨場感を味わえる。そんな「365日楽しめるFIELDSTYLE」を目指したいんです。

大西:そこで僕が貢献できるとすれば、会場の体験を「持ち帰れる形」に翻訳することですかね。

現地に来られない方には配信や記事でリアルな空気を届け、来場した方には体験を日常に溶け込ませるコンテンツを用意する。

イベント当日とオフシーズンを循環させる導線を、FIELDSTYLEの中で設計していきたいです。

清水:やるべき課題は少なくありませんが、それを凌ぐ可能性が広がっています。プロジェクトの始動から10周年を迎える来年は、さらに進化したFIELDSTYLEを皆さんにお見せしたいですね。


構想から数えて10周年。FIELDSTYLEは、節目となるアニバーサリーイヤーを迎えます。

5月に初の東京開催、11月に例年どおりの愛知開催を予定しており、全国規模への展開がいっそう加速していきそうです。

そしてそれをきっかけに、FIELDSTYLEはさらなる機能を携え、新たな層を巻き込みながら進化していきます。

狙うのは、年2回の大型イベントという枠を越え、誰もが好きなタイミングでアクセスし、喜びや充実感を共有できる常設のコミュニティへと高めること。

「遊び」に全力を注ぎたい人も、まだ「自分らしい趣味」を探している人も、豊かな暮らしへとつながる上質な体験に出会える場所。
 
それが、大西と清水さんが描く次世代のFIELDSTYLEです。ふたりはこの舞台を起点に可能性を広げつつ、新たな挑戦へと踏み出したばかりです。


━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
 ◆ 今後の FIELDSTYLE 開催スケジュール ◆
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
《2025年》
▪️暮らしと遊びの総合展示会 『FIELDSTYLE EXPO 2025』
2025年11月15日(土)・16日(日)
AICHI SKY EXPO 愛知県国際展示場
※募集終了
《2026年》
【10th ANNIVERSARY SPECIAL PROGRAM】
▪️暮らしと遊びの総合展示会『FIELDSTYLE TOKYO 2026』
2026年5月9日(土)・10日(日)
東京ビッグサイト
▪️暮らしと遊びの総合展示会『FIELDSTYLE EXPO 2026』
2026年11月14日(土)・15日(日)
AICHI SKY EXPO 愛知県国際展示場
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 
お問い合わせフォーム