実写のテレビCMを制作する際には、いくつかの手順が発生します。 CM制作をスムーズに進めるためにも、事前におおよその流れや気を付けるべきポイントを把握しておいたほうが良いでしょう。
そこで、本記事ではテレビCM撮影の流れや成功させるポイントなどを具体的にご紹介していきます。ぜひ参考にしてください。
テレビCM撮影の流れ
撮影に入る前に、具体的な計画を立てておかなくてはなりません。
その後は、計画に基づきキャスティングや絵コンテ作成を行い、撮影に入るという流れが一般的です。一通りの撮影が完了した後は、編集作業を行います。
ここでは、テレビCM撮影の流れについてご紹介していきます。
STEP①ブリーフィング
最初にやることはブリーフィングです。
ブリーフィングとは、「社内での情報共有」を指すビジネス用語です。テレビCM制作にかかわるスタッフ同士で「CM制作を行う目的、期待する効果、ブランドイメージ、ターゲット」などの情報を共有します。効率的に撮影を進めるために重要なステップといえます。
なお、テレビCMの効果を高めるためには、マーケティング調査が欠かせません。
ブリーフィングの際には、市場背景、消費者のインサイトなどといったマーケティング調査結果も共有しましょう。
STEP②企画 (CMの構成案の製作)
企画を作るのは、CMプランナー、制作ディレクター (映像制作会社の営業担当者)、アートディレクター、クリエイティブディレクターたちです。ブリーフィングで共有した情報を整理したうえで、具体的な企画を練っていきます。
この段階で良いアイデアを練り出しておかないと、テレビCMの効果が弱まってしまうこともありますので、しっかりとした企画を立てておかなくてはなりません。
広告主側は、テレビCMで伝えたいことが企画に正しく反映されているか、ターゲットに内容が伝わる企画かどうかを精査しておく必要があります。
テレビCMの企画では、制作会社から広告主へ「絵コンテ」と呼ばれるCMの映像の構成をまとめた企画案や撮影スケジュールをまとめた「香盤表」を提出することが多いです。この企画コンテにもとづきながら、これから制作するテレビCMのイメージのすり合わせを行っていきます。
STEP③キャスティング
キャスティングとは、出演者を配役することです。
制作予定のテレビCMの内容にマッチした出演者を選び出し、役を割り振っていきます。
テレビCMのキャスティングでは、ターゲットに近い属性の出演者を選ぶのが一般的です。
たとえば、中途採用テレビCMを作るのであれば、募集する年齢層を考慮して最適な出演者を選んでいきます。
テレビCMでは、芸能人や有名キャラクターを起用するケースも珍しくありません。
知名度が高い人物やキャラクターを出演させれば、話題を集めやすくなるので、CMの効果も高まりやすくなります。一方、出演料は出演者によって大きく変動するため、予算内に収まるかどうかはよく検討しましょう。
芸能人が不祥事を起こした時のリスク、キャラクター使用における著作権の問題などもありますので、その点にも注意が必要です。
STEP④絵コンテ
絵コンテとは、テレビCMの構成や具体的な演出などを文字や絵で説明した指示書のことです。採用した企画案にもとづき、CMプランナーや担当ディレクターが絵コンテを制作します。
絵コンテを作る際には、テレビCMのキャッチコピー、演出プラン、どのような印象を与えるのかなどを具体的に決めていきます。出演者のセリフやナレーションのほかに、使用する音楽、効果音なども検討します。
撮影が始まると、後から演出プランやセリフなどの変更が難しくなる場合があります。そのため、広告主は、テレビCMの企画意図などが希望に合っているかを絵コンテ段階で検討しなくてはなりません。
もし絵コンテの内容に気になる点があった場合には、制作担当者たちと話し合い、すり合わせをしておきましょう。
STEP⑤撮影・編集
絵コンテの制作が終わったらいよいよ撮影です。
ロケ地の選定や予約、カメラやマイクなどの撮影機材の準備、出演者やカメラマンのスケジュール調整などの準備を整えたうえで、撮影に取り掛かります。
撮影に立ち合う際に要望を伝えることが可能な場合もありますが、現場では変更できる範囲に限界があるため、基本的には絵コンテに沿った内容で制作が進みます。
撮影後は編集作業が必要であり、オフライン編集とオンライン編集の2つがあります。オフライン編集では、撮影した映像をつないで、仮編集を行います。オフライン編集の後は、テロップやナレーション・BGMなどを挿入するオンライン編集を行います。
STEP⑥考査・納品
編集が終わった後は、広告主のサービス内容やCM表現などが放送基準に抵触していないかどうか確認する考査を行います。虚偽や誇大表現、差別的表現、視聴者に不快感を与える表現などがないかを確認します。
考査で問題点が見つからなければ、広告主へも報告し、CMの構成・クリエイティブに問題ないか最終確認へと進みます。最終確認が完了したら納品です。
放送予定のテレビ局へ完成した映像を納品したら、広告主はテレビCMが放送されるのを待ちます。
テレビCM撮影を成功させるポイント
せっかくテレビCMを放送するからには、できるだけ高い効果を出したいものです。それでは、テレビCM撮影を行う際にはどのようなことに気を付けたら良いのでしょうか。
ここでは、テレビCM撮影を成功させるために押さえるべき3つのポイントをご紹介していきます。
ポイント①目的を明確化する
撮影を行う前に、テレビCM制作の目的を明確化しておくことが大切です。
「サービスの認知度を高めたい」「商品の売り上げを伸ばしたい」「自社やブランドのイメージを良くしたい」といったように、テレビCMを制作する目的はさまざまです。まずは自社内でよく話し合って、何のためにテレビCM制作を作るのかをはっきりとさせておきましょう。
最初の段階で、目的を明確化しておけば、テレビCMの方向性が決まりやすくなります。
撮影や編集などのスケジュールも組みやすくなるので、効率良くCM制作が進んでいくことでしょう。
ポイント②ターゲットを明確化する
撮影に取り掛かる前に、ターゲットも明確化しておかなくてはなりません。テレビCMでは、誰に向けて訴求するのかによって内容や表現方法が大きく異なります。
ターゲットがあいまいでは、思ったように効果が上がらないかもしれません。テレビCMを成功させるためには、どのような層に対してアピールするのかをよく考えておく必要があります。ターゲットを明確にすることでCMの説得力が高まり、視聴者の関心を惹くことができます。
ポイント③コンセプトを決める
コンセプトを決めておくことも、テレビCM撮影を成功させるための重要なポイントです。
コンセプトとは、テレビCMの全体的な方向性を示すものを指します。
コンセプトをはっきりと決めておけば、それに沿ったシナリオが作りやすくなります。
演出プラン、撮影方法なども具体的に決められるようになるので、スムーズな撮影が実現できることでしょう。
コンセプトを考えるにあたっては、伝えたいことを1つに絞り込むこともポイントです。
いくつものメッセージが入り込んでしまうと複雑化して、視聴者に伝わりにくい内容になるおそれがありますので気を付けましょう。
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